【インターンコラム】ネピドー・イエジン村からヤンゴン一極集中を考える

ミンガラバー。
クリスマスも終わり日本は年末ムード一色でしょうか。ミャンマーでは4月に新年を迎えるためか年末感がいまひとつ感じられず、私はなんだかまだ8月くらいの気分です。

最近はというと、クリスマス休暇の3連休を利用してショートトリップに行ってきました。
目的地は、首都ネピドーの中心地から東北に20㎞ほど離れた場所に位置するイエジン村。
大学村として名高いこの村には、農業、林業、畜産業をそれぞれ専門とする3校の大学が集まっています。第一次産業への依存が強いミャンマーにおいて、イエジン村は国の経済を支える知識、技術、人材が集積する要所といえるでしょう。

私は昨年約半年間、イエジン農業大学に留学していました。
停電はしばしば、エアコンがない、お湯が出ない、ネット環境が悪い、公共交通機関がない…ないものを挙げればきりがありませんが、私にとってこの村は、私がミャンマーの虜になるきっかけを作ってくれた大切な場所です。

ミャンマーでの暮らしといえばイエジン村でのことしか知らなかったので、インターンとしてヤンゴンで生活を始めた当初は、両者のあまりの違いに衝撃を受けました。
イエジン村には大型商業施設も外資系飲食店も日本人コミュニティもない代わりに、交通渋滞や物乞いの存在、極端な貧富の格差もありませんでした。人懐っこい性格の人が多いのはどちらも変わりませんが、人の家に上がってご飯をご馳走したりされたり、おやつをつまみながらだらだらと話すような時間をヤンゴンで過ごすことは減りました。

「ヤンゴン一極集中」の問題は、この国の発展を考えていくうえで避けて通れない課題のひとつ。
国の主要産業を支える三大大学が集まるイエジン村でさえ、経済発展の点でヤンゴンに大幅な遅れをとり、教育機能の発揮に支障がきたされているように感じざるをえません。
たとえば、あらゆる実験装置は不十分で学生が自由に研究活動を行える環境が整っていません。日本の大学のように学生が遅くまで研究室に残り、実験したり論文を執筆したりすることはもってのほか。夜は街灯がほとんどなく真っ暗なので、女学生は6時以降の外出が禁止されています。研究環境および生活環境の不便さがてつだってか、外国人留学生はほとんどおらず、国際交流も進まないまま。
イエジン村にいると、ヤンゴンに外資系企業がひっきりなしに進出していることなど、どこか遠い国のことのように思えてきます。
 
昨年成立した新ミャンマー投資法では、ヤンゴン一極集中の是正を目的に、地域の開発進度に応じて税を優遇するゾーン制が組み込まれました。都市部から遠い地域ほど、法人所得税の免除期間が猶予される仕組みです。
その他にも、カイン州パアンで投資フェアが開催されたり、ラカイン州マウンドーで新たな経済特区の建設が発表されたりと地方に投資を呼び込もうとする動きがみられます。
ヤンゴンにもましてインフラが未整備な地方にどれだけの投資を呼び込めるかは疑問ですが、ミャンマー=ヤンゴンとならないように地方の存在を投資家にアピールしていく意味は大きそうです。

イエジン村は、村のメインロードを牛がのっそりと散歩しているような、とてものどかな村です。約半年という短期間ではありますが、昨年はこの村の方々に大変お世話になりました。今ののどかなイエジン村も大好きですが、いつかビジネスパーソンとしてこの村に帰ってこれる日が来ないものかと、イエジン村の益々の繁栄を願っています。