ヒスイ鉱山地滑り事故から考えたこと

今月7月2日朝ミャンマー北部カチン州パーカン(Phar Kant)の翡翠鉱山で、積み上げられた土石の山が崩れ、ヒスイを探して掘り出していた人たちが生き埋めになりました。174人以上が死亡し、20人以上が行方い不明になっており、救出活動は続いておりますが、死者が増える恐れがあります。
このようなニュースは毎年雨季になると流されるニュースです。ミャンマーで1988年以降軍事政権になってから、中国の企業や軍と関係がある企業がカチン州で巨大なヒスイ産地を開発し、ヒスイをどんどん産出してきました。軍が株を持っているMyanmar Imperial Jade社はヒスイ産出ライセンスを一番多く入手していて、その数は2018年のデーターによると397件あるようです。

ヒスイは、海外ではジェイドと呼ばれ、世界中で採掘が行われており、現在宝石市場で流通するヒスイは、ミャンマー産のヒスイが独占しているようです。巨大なヒスイ産地で長年法律を無視して圧倒的にヒスイを採掘した結果、カチン州の市民には環境的に生活的に酷い影響を与えています。

カチン州は戦争が起きたり、麻薬の販売が起きたりして、平和な地域ではございません。ヒスイ産地の問題に関しても2015年前のデーターはあまり見つかりません。2015年~2020年のデーターによると毎年の土石の山が崩れで死亡したのは5年間に700人以上あるようです。

巨大なヒスイ産地で巨大な機械を利用してヒスイを採掘す企業は雨季になると7月~9月まで一時休業します。ヒスイ企業が色んな機械で掘り出して、探して、その後に、土石を捨てるのですが、土石がどんどん積み上げられて大きな山のようになります。

そんな時にカチン州の市民たちはヒスイ産地に参入して、少しでもヒスイが残っていないかと探して掘り出します。そのような人の数は20万人ぐらいいるようです。

金持ちになる夢で来る人もいれば、生活が厳しいので来る人もいます。ヒスイ掘ったり、麻薬を使ったりして過ごしている人もいます。その辺で生まれて、ヒスイ掘る仕事しか知らないという人もいます。

何とは言っても法律の下での労働者ではないし、違法な労働者で、政府としても管理が難しい状況です。2015年民主化になってからは宝石の法律を改定したりして、2019年に新法律を大統領がサインして公表しました。新法律によると巨大なヒスイ産地は許可されません。中・小規模だけを許可されます。そうなると環境問題や事故の問題などがある程度減ってきます。しかしながら、新法律に関わる条例、手続き等が未だ出ていないので、法律の施行がまで出来ていない状況のようです。
ヒスイは中国では、他の宝石よりも価値が高いとされ、不老不死および生命の再生をもたらす力を持つと信じられているようです。ミャンマーで掘り出されたヒスイは殆ど中国市場へ行きます。違法な取引も多くあります。
今回の事故の前にも何日か連続で少しずつ山崩れの事故が起きて数人死亡していました。人々は危険性を感じながらも毎日ヒスイを探していました。毎年100人、200人死亡するのですが、自分の運だけを信じてヒスイを必死に探し続けたようです。
アウンサンスーチ氏は今回の事故に関してカチン州では雇用機会が無くて、違法な労働者としか生活出来ないことは大変なことだというような話を述べました。大統領は事故を検査する為の組織を構成しました。
ヒスイ産地でヒスイを掘り出している何千人の人の動画を見たことががあります。金持ちになるどころか、ヒスイ見つかったら周りの人に殺されないかと思うぐらい危ないところです。資源というは良いものか悪いものか考えさせられました。これからは政府がきちんと管理して、来年は死亡者が少なければと願います。

筆者:Ms. Chu Khet Khine